2003年12月09日

供述調書Ⅳ

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住居 香川県高松市太田上町***番地*

職業 地方公務員

氏名 ■■ ■

昭和**年*月**日 生 (**歳)

右の者は、平成三年二月九日神戸地方検察庁姫路支部において、本職に対し任意、次のとおり供述した。


(一)
私は、昭和**年に香川県職員に採用され、*年間土庄保健所の勤務を経て、同**年に同県環境保健部環境総務課に配置になり、同**年には組織変更により名称が環境自然保護課と変わり、同**年に同課の係長に昇格し、平成*年一月一六日からは、環境保健部廃棄物対策室係長として、現在に至っています。

この間私は、同五三年六月からは主に産業廃棄物の関係する職務に従事してきました。

その職務の内容は、産業廃棄物処理業の許可手続き、排出事業所の指導・産業廃棄物の苦情処理などでした。

私は、薬剤師の資格を持っています。

 
(二)
私は、今回兵庫県から摘発を受けた豊島総合観光開発株式会社の指導・監督等に関係していますので、その状況を話します。

これから豊島総合観光開発株式会社のことを簡単に豊島観光と言って、また豊島観光の小豆郡土庄町豊島家浦字水ヶ浦三一五一番地の一の産業廃棄物処分地のことを現地と言って話します。

豊島観光は、香川県から産業廃棄物の処理業者として許可を受けたのは、同五三年二月ころで、私は、そのころまだ土庄保健所に勤務しており、同保健所から豊島観光の現地に検査に行ったことが一回ありました。

その後私が、前述のように昭和五三年に香川県庁に戻ってからも、先程話したように、産業廃棄物関係の仕事を現在まで続けてきたことから、指導・監督や検査等の必要から、豊島観光との関係は一三年余りも続いており、豊島観光の現地によく立ち入り調査に行っていましたから、現地のこともよく知っていますし、豊島観光の松浦庄助さんが豊島観光の実質的な社長であることもよく知っています。

豊島観光が香川県等から廃棄物処理業者として許可を受けている内容についても勿論知っています。
 

(三)
私が、豊島観光に対し、指導・監督等して来た状況については警察官にお話したとおりですので、今日は、検察官から質問されていることを中心に話します。

まず、私が、豊島観光の扱っていたシュレッダーダストのことを以前有価物だと思っていたことについて説明します。

豊島観光が扱っていたシュレッダーダストのことをこれから簡単にダストと言って話します。

ダストというのは、廃車を破砕・裁断して細かくしたもので、その中には車のシートや天井部分の廃プラスチック類等と車体の金属部分が含まれており、これら廃プラスチック類と金属くずはいずれも産業廃棄物に該当しますから、ダストは一般的には産業廃棄物である廃プラスチック類と金属くずの混合物と言えるのです。

私は、詳しく調査した訳ではありませんが、このような産業廃棄物の典型的なものであるダストについて、有価物として扱っているということは全国的にもこれまで聞いたことがありません。

それにも拘らず、私が、豊島観光が扱っていたダストを有価物などと判断したのは、松浦庄助から次のような説明を受けたからでした。

確か昭和五七年の後半のころだったと記憶していますが、庄助が一人で香川県庁の産業廃棄物担当の私らの部屋にやってきて、袋のようなものに入った金属片数キログラムを机の上に出して私らに見せました。

その金属片は、焼却後の白っぽく粉がふいたようなものでした。

庄助は、それを私らに見せながら、

シュレッダーダストを焼却すると、このような金属が取れる。

焼却して金属を取り、それを売却する事業をしたい。

このダストは姫路の方から買って持ってくる。

姫路市にも寄って相談して来た。

廃棄物処理法が適用されるかどうか聞きたい。

と言って相談してきました。

つまり、庄助は、その金属回収業をするとすれば廃棄物処理法の許可を受けなければならないのか、受けなくてもいいのかを尋ねてきたものでした。

これに対して、私ら香川県としては、当時明確な解答はしなかったと思います。

というのは、庄助つまり豊島観光が、このダストを有価物として買って、金属を回収する営業実態がよく分からなかったことから、廃棄物処理法の適用があるか否か判断できなかったからでした。


(四)
廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になったものをいい、廃棄物に該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって排出された時点で客観的に廃棄物として規定できるものではないとされています。

そして「他人に有償売却」とは、占有者が引取者に物を渡し、占有者が引取者より実質的に売却代金を受け取ることをいうとされ、形式的、脱法的な有償売却は処理として取り扱うとされています。

したがって、占有者が自ら利用し、又は、他人に有償売却できる物は占有物であり、有用物とは、市況変動等により廃棄物となる場合を除き法の適用を受けないこと、有用物と産業廃棄物が分離されない状態で存在し、全体が有用物と考えられない場合には、その全体を産業廃棄物として取り扱うこととされています。

いま、お話したように、法令上廃棄物と有用物の区別がなされていることから、庄助が持って来た金属を見せられ、一方的な説明を受けただけでは判断できなかったのです。

(問)  あなたは、この時松浦庄助から、ダストから金属を回収する事業について、採算があうという話を聞いたか。

(答)  採算が取れるかどうか、庄助の口から出たかどうかはっきりしませんが、先程話した廃棄物や占有物の定義などから、当然「買うんかい、採算があうんかい。」という話が私の方から出ていると思います。

これに対し、庄助の方から採算があうという意味の話があったのではないかと思うのですが、はっきりしません。

 
(五)
それで、結局私の方からは庄助に対しその物が、産業廃棄物でないならば、産業廃棄物の処理業の許可は不要である。

購入するといっても、形式的脱法的な契約であれば、廃棄物である有価物とは価値ある物で、取引契約がきっちりしたものでないといけない。

といわば原則論を言っただけにとどまっただけだと思います。

ですから、この時、庄助に対し、一般に廃プラと金属くずの混合物であるダストが有価物つまり法令上の有用物に該当するから、廃棄物処理法の適用がなく、従って、許可がいらないなどと断定したことは、絶対言っていないはずです。

(問)  あなたは、豊島公民館で開かれた住民側と豊島観光との話し合いないし説明会の席上で、住民側からダストの野焼は産業廃棄物の許可が必要ではないかとの質問に対し、「豊島観光は有価物からの金属回収をやっているから許可は必要ない」旨の回答をされたのではないのか。

(答)  はい、そのように回答しました。

(問)  あなたは、そのようにダストを有価物と理解されたのは、どのような理由からか。

(答)  それは、庄助からダストの契約書を、時期は忘れましたが、その集会の以前に見せられたことがあったからでした。

確か、豊島観光の処分地に、ダストが持ち込まれたのは、昭和五八年ごろだったと思いますが、そのころ、庄助はそのダストが姫路の業者から来ていると話しており、そのダストについての契約書を見せてもらいました。

その契約書の中身は、正確には覚えていませんが、豊島観光が姫路の業者からダストをトン当たり三〇〇円で買い、相手の業者は二〇〇〇円の運送費を豊島観光に支払うというものでした。

その契約書を見て、私は豊島が無意味な物を買うはずがない、だからダストは有価物だと、今思うと短絡的な考えでそのダストを有価物と考えてしまったわけでした。

このように、ダストは基本的には有価物だと考えてしまったために、豊島観光がダストを処分地に持ち込み、それを焼却して金属を回収することは、廃棄物を規制する廃棄物処理法の適用がないと考えてしまい、その前提でその後、豊島観光を指導してしまったのです。

それでダストの焼却炉の設置も問題がないと思っていたのです。

 
(六)
庄助は、ダストを燃やす廃油も購入したものである旨、当時から言っていました。

廃油も一般的には産業廃棄物に該当しますが、私はここでも庄助の買ったと言う言葉を有価物として買ったという意味に理解して廃棄物処理法の適用はないと短絡的に考えてしまったのです。

ただ、廃油については、庄助から購入した旨の契約書は見せてもらっていません。

(問)  廃油については、これまで捜査したところ、豊島観光が購入していたような事実は窺われないが、それについてどう思うか。

(答)  もし、豊島観光が廃油を購入している事実がなかったのなら、私は完全に騙されていたことになります。

廃油を買ったのでなければ、廃油は通常廃棄物ですから許可が必用になるわけで、当然、私は本当のことを知っていたら、廃油を持ち込んではいけない、廃油を焼却してはいけない、許可を取りなさいと指導していたはずです。

この時、平成三年二月五日、司法警察員■■■領置にかかる廃棄物処理指導票(指導年月日、昭和六二年五月二一日及び平成元年八月二三日のもの)二通を示し、その写しを本調書末尾に添付することとした。

 
(七)
お示しの指導票二通は、私が豊島観光の現地を見て指導した内容を私が記載したものです。

この指導票の中の「ダスト類」とは、私がこれまで述べてきたダストつまりシュレッダーダストのことではなく、白味を帯びた緑っぽい粉体でした。

また、この指導票の中の「廃プラ等」とは、これまでお話してきたダストやラガーロープのことです。

(問)  あなたは、先程述べられたように、ダストが有価物と認識しておられたのに、このような指導をされたのはそのような事情からか。

(答)  この指導票にあるように、当時ダストはミミズの養殖場以外で埋め立て処分しているような状況でした。

つまり、ダストの上に重機で製紙汚でいを引き伸ばしていたのでダストつまり有価物の上に廃棄物である製紙汚でいを引き伸ばすような状態は埋め立てていることにほかならない、つまりダストを有価物として取り扱う意思はないと判断したからでした。

(問)  製紙会社から排出されるいわゆるラガーロープについても、豊島観光の現場で廃油を使用し焼却していた事実が、証拠関係から認められるが、この点については、どのように思っておられたのか。

(答)  ラガーロープはダストより古い時期に豊島観光の現場に持ち込まれて、最初は灯油を書けて焼却し、番線を回収していました。

このラガーロープも庄助は製紙会社から買っていたものと当時から言っていましたので、その場合も私は買ったのであれば有価物であると判断していたのです。

ところが、今お聞きしたところ、ラガーロープも買っていた事実はないということですので、この点でも私は庄助から騙されていたことになります。

(問)  庄助は、ダスト一トン中に三六〇キログラム位の金属つまり銅、アルミ、鉄、ステンレス等が含まれている、つまり三六パーセントの金属が含有していた旨供述し、その根拠として、それは香川県がダストの金属含有率を検査した結果の数字であると主張しているがそのような検査結果が得られているのか。

(答)  庄助が、香川県の検査結果を基礎にして供述しているのなら、それは間違いです。

香川県が、ダスト中の金属の含有率を調査したところ、二.七パーセントしか含まれていませんでした。

庄助は、平成二年一二月二〇日に香川県が発表した含有試験結果の数値を勘違いして言っているのではないかと思います。

その含有試験というのは、ダストの微量の混合物の中に金属が何ミリグラム含まれていたかを調査したもので、三箇所からの検体を検査してもいずれも二〇パーセント以下ですし、それにその検体自体金属回収業として実質的に回収できないものですから、その検査結果からダストに何パーセントの金属が含まれていたかという結果を引き出す根拠資料にはならないのです。

 
(八)
今回の豊島観光の事件を私なりに考えてみますと、これまでお話したように、庄助が廃棄物である廃油やラガーロープを有価物として豊島観光が買ったものだという嘘の報告をして私が騙されていたことや、私がダストについての契約書を見てダストが真実有価物として豊島観光が購入していると考え、ダストの運搬費などを含めると、形式的或は脱法的な売却行為であったか否かについて、十分検討することなく有価物だと判断してしまったことが重なって適切な指導が出来なかったことに原因があると思います。

その意味で私にも判断ミスがあったことに責任を感じています。

ただ、行政としては、民間の商取引に介入していくような形で、詳しい調査が可能かどうか限界もあるわけですが、処理業者の方から相談を持ちかけられ公的な見解を求められた場合には、やはり実質をよく検討して回答すべきだったと想います。


■■ ■{印}

右即時録取し読み聞かしたところ誤りのないことを申立署名押印した

前 同 日

神戸地方検察庁姫路支部

検察官検事■■ ■{印}

別紙有り 廃棄物処理指導票 2通

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